Newsletter 2020/07 vol.35

まさに正念場

COVID-19の感染者数も4月、5月と比べるとかなりゆるやかになり、非常事態宣言が解除され、経済活動が再開されてきたことを受け、「東京 里帰らない人応援プロジェクト」も非常時、緊急を要する時期としての役割を終えた感が出てきたので、次の段階へどのように発展させていくかを、考え始めています。基本的には、これまで考えてきた仮説とモデルをベースに磨きをかけているのですが、なかなか思い通りに進まない現実について、今月は報告させて頂きます。

死の谷を超えるために

スタートアップのステージを表現する時、シード、アーリー、ミドル、レイターなどという言葉で使ったりします。自分たちの認識では、市場調査、ニーズの把握、プロダクトのコンセプトやプランができ、これからプロダクトを作ろうというタイミングで、アーリーにステージが上がった感覚でいます。ただこのタイミングではまだプロダクトがなく、仮説を持っているにすぎないため、自分たちの仮説を試作でもよいので実際にプロダクトを作り、検証する必要があります。そのためには資金が必要であり、その試作を作る仲間が必要だったりするので、リソースの確保が必要ですが、資金を調達するにもモノがないと説得しづらいし、仲間を募るにもどのような方法で協力をお願いするかと、いろいろ悩みます。

世の中にプロダクトを出してスタートアップさせた企業は、このステージを何らかの方法でクリアし、諦めずに愚直にいろんな方法を探し続けた結果、道を切り拓くことができたのだと、つくづく思い知らされています。実際、このステージを「死の谷」という表現をする人もいるくらい、スタートアップにとって厳しい時期なのだと。

一方、ベンチャーキャピタルの知人から、サービスを作るために悩んだ時間は、プロダクトを市場に投入した後、競争優位性を保持できる期間と同じだと思えと言って、諦めずに考え続けなさいとアドバイスを頂いたりすると、妙に納得する?自己暗示?な気分にもなったりしました。

次なるステージを目指して

ただ悩んでいても道は切り拓けないので、久しぶりに「起業の科学」(田所雅之著 日経BP)を読み返しました。この本の副題はスタートアップサイエンスとあり、シード期、アーリー期を論理的にどのように進めるかが説明されていて、悔しいくらいに愚直に進めるしかないことを思い知らされます。今回も実際にビジネスモデルの仮説を「リーンキャンバス」で描いて、ビジネスモデルを机上で検証してみたところ、驚くくらい短時間でリーンキャンバスに書き込むことができたことは進んでいることを実感できてよかったのですが、1カ所だけ埋まらないところがあり、その弱いところを瞬時に洗い出されたことに衝撃を受けました。それはまさに今自分たちがクリアできていない課題、「チャネル」に関する戦略です。

「東京 里帰らない人応援プロジェクト」の活動を通じて、Facebookで「妊産婦へ届け!」と念じてみましたが、現実はなかなか届きません。まさにそこをクリアする必要があります。この課題をクリアするために、妊産婦さんたちにどうしたらメッセージが届くのか、そして共感を得ることができるのか、サービスを利用してもらえるのかを探ろうと、妊娠、出産を経験した女性や育児を経験した男性にヒアリングをし始めました。

また、妊産婦さんが情報へのアクセスの課題は自分たちで捉えていることでズレてないと思いますが、どう解決するかはまだまだ試行錯誤が必要であり、その情報へアクセスするための導線も含めて考える必要があると考えており、その可能性の1つに「note」を活用できるのではないかと思ったので、少しいじり始めました。

まだまだ道半ば、子育ての課題を男性の視点から考え、解決することを、ライフワークとすると決めて活動すると決めたので、世の中へソリューションを提供できるように、諦めずに頑張ろうと思いますので、ご協力よろしくお願いします。

Newsletter 2020/06 vol.34

プロジェクトへのご支援・ご協力に感謝!

「東京 里帰らない人応援プロジェクト」へ多くの方からご支援・ご協力を頂きまして、本当にありがとうございます。ご支援をいただきましたもの、大切に妊産婦さんをケアする時に利用させて頂いております。

実際にプロジェクトをやりはじめて感じたこと

1)助産師の方々の熱い思い

助産師さんたち、妊産婦さんたちをなんとかしてあげたいという思い、ほんと熱く、強い!これはCOVID-19の感染拡大を受け、両親学級や母親学級などのイベントが中止された後、すぐにZoomを使ったオンライン相談を多くの助産師がはじめたことでも分かります。決して、ITに詳しい人の集団ではありませんが、必要と思えば、すぐに使い方をマスターし、困っている妊産婦さんたちをサポートする仕組みを作りました。

2)緊急事態から平時へ

プロジェクトがスタートした時期は緊急事態宣言が発令されており、COVID-19の感染者数もたくさん報告されていましたが、5月末には緊急事態宣言が解除され、感染者数も減少していたので、緊急時の対応だけでなく、平時や第2波に備えた対応が求められています。ただまだまだ以前のように自由に行動できる状況ではなく、感染に注意しながら行動することが求められているので、状況に即した産前産後ケアを考えていく必要があります。また感染症は何度か流行の波があると言われているので、第2波、第3波が来た時にも対応できるように体制や仕組み、モノなどの準備を進めていく必要があります。

3)妊産婦へ届け!

InstagramやFacebookなどを通じてプロジェクトに関する情報を発信していますが、なかなか妊産婦へ情報が届いている感じがせず、どうすれば届くのかと模索中です。今回のプロジェクトは緊急支援という目的で、急遽プロジェクトを立ち上げて活動しているので、産前産後ケアを必要としている人はどんな人で、どんな時なのかはもう少し詳しく分析が必要かと思います。

4)無料は続かない

今回のプロジェクトの中でよく議論するテーマの1つに、無料でオンライン相談を行うことの是非です。私の考えは、緊急で一時的に無料で対応することはあっても、ずっと無料でやることは無理だと思います。サービスを提供する人たちの思いだけでは、いずれジリ貧になってしまうからです。そのためには、サービスを提供するために必要な費用を誰かが負担する必要があり、それを回収するモデルを描くことができれば、継続することができます。

5)Before COVID1-19には戻れない

COVID-19の影響で、妊産婦向けにオンライン相談を行う助産師の方が増えて、妊産婦さんたちの不安を和らげることができたと思うので、非常に大きな変化が起きたと思っています。またオンラインで産前産後のことを相談できることのメリットを妊産婦さんも感じたと思うので、この流れはBefore COVID-19のような対面だけということにはならないと思います。オンライン相談をこれからも継続するためには無償ではく、有償でサービスを利用するという意識改革が必要と思います。

「産前産後ケアプラットフォーム」の実現に向けて

「東京 里帰らない人応援プロジェクト」の活動を通じて、改めて産前から出産、育児に関することを学ぶ機会が重要であることを強く思いました。また日々現場で活動されている助産師も産前教育の重要性を認識しており、これは仕組みとして早急に作る必要があるということで、「産前産後ケアプラットフォーム」の構築の準備を始めています。

産前教育ということで、学ぶためのコンテンツだけを準備しても面白くないので、折角今回のプロジェクトで助産師のネットワークができたので、教育と産前産後ケアをつなげることで、実際に起こる大変な局面を助産師のサポートでクリアできる仕組みを作りたいと考えています。

また産前産後ケアは助産師が妊産婦の状態を、その時その時の状況をみながら、気持ちに寄り添い対応し、経験やノウハウが個人に蓄積されています。経験やノウハウを助産師同士で共有するとか、どんなタイプの人にどんなケアが有効かなど層別できるようにしていければと考えています。