Newsletter 2019/04 vol.20

1000人ヒアリング(進捗)

1年前、知人からビジネスプランを1000人に聞いてもらってこいと言われたことがきっかけではじめたヒアリングは、現在540名くらいまで進捗しました。自分たちが考えている「母乳検査」を説明しながら、どんな気づきがあり、変化があったのかを報告します。

初めの100名まで
今からするとビジネスプランは粗削りで、自分たちの思い先行で「母乳」をメタゲノム解析すると何かが見えるはずという感じで、いろんな方に話を聞いてもらいました。相手からの質問に冷や冷やしながら、手探りで自分たちのプランを聞いてもらっていたというのが正直なところです。自分たちのやりたいことを説明してるだけで、相手に何をお願いしたいかが言えない状況が続きました。

100名ぐらいのとき
「母乳」を対象とした事業に新規性を感じ、興味を持って頂いた経営者が現れました。その方からアドバイスをもらいながら、ビジネスモデルを3か月くらいいかけて考える機会を得ましたが、母乳を単に検査するだけでは、どんな課題を解決するのかわからないし、その課題を解決することにコミットしないと、人はお金を出さないのではないかとコメントを頂きました。だから売れるかわからない時は試作を作って、市場にニーズを問うことが必要とアドバイスをもらいました。自分たちのアイデアをカタチにするところまでは他人の資本をあてにせず、自力で行わないとベンチャーの醍醐味が味わえないと言われたので、自分たちで検査サービスのトライアルを企画することを急ぐことにしました。

200名ぐらいのとき
ビジネスモデルを説明するとき、どうすればシンプルに説明できるのかと考えてたとき、「起業の科学」という本に出会い、そのフレームワークを使うと構造的にモデルが描けるようになり、ビジネスモデルの解像度を高めることを心がけました。ビジネスモデルを俯瞰的に見ながら、粗いところを探しながら、それを1つずつつぶしていく活動をしていました。
また、顧客の課題を知るために、ママ向け、パパ向けに育児に関するアンケート調査を実施しました。合計で100名を超えるママ、パパに回答してもらうことができ、多くのママは母乳の状態を気にしているが、検査した経験はないということと、育児はママとパパが相談しながら行っている人が多いということも数字で把握することができました。

300名くらいのとき
はじめてビジネスモデルコンテストに参加しました。自分たちのモデルはまだコンセプトの域を出てない状態のため、リアリティが乏しくピッチでのインパクトが弱く、聴衆の関心を惹きつけることができませんでした。他社は実際にお金が動くビジネスになっているものが多く、その差は歴然でした。だから、実際に母乳を検査してデータ分析して、すでにデータがあり、「〇〇が分かる」ということを示すことが必要だということをより強く感じ、トライアル解析を最優先にすべきことだと決めました。
また、自分のプレゼン資料には、「仕様書」の延長でしかなく、「ピッチ資料」になってないことも痛感。いかに短時間でビジネスモデルに共感してもらい、自分たちに興味を持ってもらい、お願いしたいことが伝えることができるかというものになっていないことに気づきました。
400名くらいのとき
実際に母乳をサンプルとして入手し、トライアル解析を行いました。初めて出てきたデータをみたとき、ほんと感動しました。ビジネスとしての第一歩を歩みだしたという感じで。またトライアル解析を行ったことで、自信をもって自分たちのビジネスプランを話せるようになりました。経産省主催のイベントで急遽ピッチをすることになった時も、3分で伝えたいことを伝えることができるように頭の中が整理されました。
次の新たな課題は、技術的に検査できてもその結果を被験者が理解できるかということが顕在化しました。ママとパパは相談しながら育児をする前提にしたとき、母乳育児も相談するのかという疑問が出て来たので、再びパパを対象にアンケート調査を行いました。結果は想定通りパパの母乳育児に関する知識不足しており、母乳育児はパパから言い出せないテーマだということがわかりました。市場の認知、啓蒙からベンチャーで仕掛けるのはちょっと辛いなぁという印象でした。

500名くらいのとき(現在)
母乳の基準を作ることをゴールに、アカデミアとの共同研究を開始することが決まりました。これからは研究開発計画に従って、大学病院と連携してデータを収集して、相関関係を見つけることが最重要課題であり、やるべきことが明確になりました。これを半年でするのか数年かけてするのかはビジネスとしての解像度をどれくらい鮮明に描けるかであり、その資金をどのように確保するかだと考えています。これからがスタートアップ企業になれるかどうか試されるときであり、かなりワクワクしています。

より熱くビジネスプランを説明する機会が増えますが、引き続きご協力よろしくお願いします。