第1回母乳バンクカンファレンス
(子育て×母乳)

2018/07/01

今回は、母乳バンクに関連したカンファレンスが開催され、母乳について学んできましたので、報告します。

2018年6 月15日に昭和大学が主催で、初めてのカンファレンスが開催されました。医師、薬剤師、助産師等の医療従事者を中心に、150名ほどが参加されており、会場はぎっしりでした。

早産児の栄養ニーズに着目し、「全て母乳に由来した栄養製品」を作るラクトエンジニアリングというプロセスを1980年に開発したアラン・ルーカス教授(英国)が来日され、早産児にとっていかに母乳が重要かという説明を事例をもとに説明頂きました。特に、早産児の場合、脳が十分に発達していない時期に出生すると、生まれてすぐに脳が発達するように栄養を与えることが必要であり、重大な脳に障害が出る可能性があるようです。また牛由来のミルクを使用する事で壊死性腸炎を引き起こす可能性があることなど、30年以上研究され、その後の生育状況も含めて追跡調査された結果を報告頂き、非常にわかりやすかったです。

そもそも粉ミルクは牛由来であることを意識している人は少ないのではないか思いますので、ここで改めて粉ミルクは牛乳をもとに作られている工業製品であることを説明しておきます。

その前提から、粉ミルクに関する課題が説明されていました。まず粉ミルクの基準は粉ミルクが普及し始めた1970年代、当時の研究結果を基に作られましたが、その基準が現在では正しくないことがわかっているようです。粉ミルクで育てると栄養過多になりがちで、将来、肥満や糖尿病のリスクが高まるようです。ただ当時の研究結果がどうのというよりか、いろんな研究をしてきたことにより、赤ちゃんが母乳を飲んでいる成分や量を正しく測定することが難しいことががわかったため、当時のサンプリングの前提が適切でないとわかったようです。それはママが搾乳した母乳と赤ちゃんが直接おっぱいから飲んでいる母乳とでも異なるようで、それぐらい繊細なものだということがわかっているようです。実際、赤ちゃんがおっぱいを飲むとママのホルモンの分泌が変わるらしく、それぐらい繊細だそうです。

また、現代のように社会が発展したことにより、人間の進化が追いついておらず、従来自然界から摂取していただろうものが赤ちゃんに不足しがちだという説明もありました。例えば、鉄分、昔は赤ちゃんも地べたで転がり、土が手につき、それを知らず知らずに口に入って、鉄分を体に取り込んでましたが、今はそんな機会は赤ちゃんにないため、鉄分が不足しがちだとのことです。それ以外にも、赤ちゃんが不足しがちな栄養素があるとのことで、新生児を育てるママやパパは知って置いた方が良いと思いました。

今回のカンファレンスでは、早産児と正期産児とで対応は異なり、そのリスクも変わることがよくわかりました。

私自身、医学の専門家ではないですが、赤ちゃんにとって母乳がいかに大事なものであるかはよくわかりました。なかなか正しく伝えることができませんが、母乳に関する情報はこれからも発信していきたいと思います。

今秋には、下記のような学会が開催されるとのことですので、機会あれば、ご参加ください。

第19回国際母乳哺育学会(The International Society for Research in Human Milk and Lactation)

日程 2018年10月6日から11日まで
会場 逗子国際湘南村 国際会議場 他