Newsletter 2021/06 vol.46

いよいよ「パパの戦力化」に国も動く

「男性産休」改正育児・介護法が可決
2021年6月3日に育児・介護法が可決され、男性が子どもの誕生後、8週間まで最大4週間の育児休業を取得できるようになりました。休業の申請は、2週間前までに申し出ることで、可能であり、1回で4週間を取得する必要はなく、2回に分割することも可能です。また、通常「休業」となると、仕事は一切できないことが原則となりますが、労使間で合意できれば、仕事を継続することも可能で、仕事への影響もゼロイチではなく、フレキシブルに対応できるところが特徴です。

また、2023年からは従業員1000名以上の企業に男性育休の取得率を公表することが義務付けられるようです。企業は表面的な数値目標や実績ではなく、なぜ男性の育児参画の必然性、男性育休の重要性を本質的に理解することが求められます。特に、若い世代は企業の表面的な姿勢には敏感であり、慎重に対応を進める必要があります。
ちょうどこのようなタイミングで組織全体で、出産、育児、そしてダイバーシティ&インクルージョンに取り組む企業とワークショップを実施したので、報告させていただきます。

法人向けに「パパの戦力化」に関するワークショップを開催

5月にクラウドサービスを提供するIT企業で「出産、育児」と「カラダの変化」をテーマに、私と助産師がスピーカーとなり、社員の方を対象にオンラインでセミナーを開催しました。このセミナーの目的は、社員が「出産、育児」のことを学び、本人、パートナーそして組織が理解を深めることで、仕事をしながら、育児をすることを、みんなで考えるきっかけを与えることです。さらに、それぞれの立場で、自分ごととして仕事と育児について考え、チームのメンバーがお互いに状況を理解することで、新しい働き方ができるのではないかということにチャレンジします。

当日は、社長自ら参加頂き、50名を超える方に参加いただきました。その中には、来月出産を予定されている女性社員の方もいて、非常に熱く質問を頂きました。「出産、育児」というテーマでありながら、妊娠中の人や育児中の人だけが参加するのではなく、全世代、全社員を対象に開催したので、誰もが理解できるように客観的な情報を提供しつつ、医療資格者からエビデンスに基づく情報をもとに、いろいろな事象についてロジカルに説明するようにし、誰もが自分ごととして考えてもらえるように心がけました。

その結果、非常に多くのことを私たちも感じることができ、気づきがたくさん頂けたセミナーとなりました。
セミナーを企画頂き、ご協力頂いた方々に感謝しております。ありがとうございます。

「出産、育児」について
私は、現代の出産、育児における大きな課題は、「ぶっつけ本番」だと考えています。
知識も経験も事前準備もなく、我が子が産まれたら、誰のサポートもなく、いきなり生命のある生身の人間をお世話することになります。そして、このような状態になることを、学校でも家庭でも誰からも学んでいないし、学ぶきっかけすらない状況です。どうすれば学ぶきっかけを与えることができおるのかと考えた時、産休、育休を取得する社員と接点がある企業に協力してもらうことで、解決できるのではないかと考えました。

この仮説を、実際に法人に協力を頂き、これから出産を控えている社員の方にも参加いただく中で、「出産、育児」についてお話しすると、どんな反応を得ることができるのかを、今回のセミナーで確認することができました。
社員の方々の「出産、育児」に関する関心は、非常に高いテーマであることを実感しました。こちらからテーマを働きかけることで、多くの方が自分ごととして考えることができるテーマであるとも感じました。

実際に法人向けにセミナーを開催してよかったこと

  • 産前から「学び」の必要性に気づいてもらえたこと
  • パートナーと参加いただけたこと
  • もし産後に困ったことがあればどうすれば良いかを伝えることができたこと
  • 周りの人たちはどのように子育て夫婦に係れば良いかを伝えることができたこと

ライフスタイルとワークスタイルとカラダの変化について
これまで「出産、育児」は、女性のことであり、男性が考えることではないと考えられてきましたが、男性も女性も仕事も家事、育児をする時代となり、一緒に考えるテーマです。組織(チーム)の中に、本人が出産したり、パートナーが出産するので育児がはじまる人がいることは、特殊なことではありません。しかしながら、「出産、育児」のこと、そしてその時のカラダの変化について、詳しく理解し、どう対応するべきかを知っている人は多くありません。だから、今回のセミナーでは、「出産、育児」をテーマにしますが、ハウツーを話すのではなく、当事者の「カラダの変化」、特にホルモンの変化を中心に話すことで、カラダの中ではどんな変化が起きているか、その時周りの人たちはどう対応すればよいのかを、医療従事者である助産師から説明し、考えてもらうことにポイントをおいて話しました。

カラダの変化と言う視点から、女性の出産、育児だけにフォーカスするのではなく、男性の変化、そして女性の生涯の変化として更年期のテーマまで広げてお話をさせて頂きました。少しテーマが広範囲になりましたが、女性のカラダの変化だけでなく、男性のカラダの変化を同時に知ることで、お互いに相手の生物学的な性別によるカラダの変化を知ることで、これまでと違う気づきが生まれたのではないかと思っています。

「カラダの変化」と社会で活躍することとの関係
多くの人は自分のカラダのことを知らないし、異性のカラダも当然知りません。だからまず自分のカラダのことを理解するところから始める必要があります。そのためには、自分のカラダについて興味を持つことが大事だと思います。

そして、人生においてキャリアを築くとき、自分のカラダに変化があることを理解した上で、自分の活動をどのようにしたいかを考慮し、プランを立てることが大事です。カラダの変化があることを知っているのと、知らないでは実は大きな差が生じることが、まだ認知されていません。いくら気持ちは積極的に行動しようと思っても、カラダの変化によってそれが叶わない時はストレスになるため、自分のカラダの変化と行動計画を一致させる方法を考える必要があります。

また社会で活躍すると言う意味も変化しているのではないかと思います。

活躍することを「パフォーマンス」と捉えたら、そのパフォーマンスが高くなる対象は、所属する組織だけのことを考えていては理解できないことが、最近出てきていると思います。それは、課題(テーマ)を起点に、課題解決に必要な関係を自社だけでなく、外部との関係を築くことで解決しようとする動き(インタープレナー)が活発になってきているからです。

つまり、従来は企業が行動するために目的を提示し、必要な人材を集めることで、目的が達成され、その達成度合いを「パフォーマンス」と表現していたと私は解釈します。しかし、今は個人が課題を感じ、解決するために行動し、目的に共感する仲間を集めることで、組織が生まれ、個人が所属する組織は必ずしも1つであるとは限らず、複数に所属することもあります。つまり、個人の視点にたって、社会で活躍する、パフォーマンスを高めると言うことは、自分ごととして課題を捉え、解決するために活動するために、最適かどうかではないかと考えます。そのためには、常に、自分が選択できる状態にある必要です。

この辺りのテーマは、もう少し掘り下げてこれから考えるテーマになると思いますので、考え方が整理できたら、報告させていただきます。