Newsletter 2019/10 vol.26

いよいよ今年も第4コーナー

ビジネスコンテストのシーズン到来!
昨年と同様、今年もいろんなビジネスプランについてのコンテストが開催されます。今年は積極的に参加していこうと思っているので、可能な限りエントリーするつもりでいたので、エントリーできそうなものがあれば、エントリーするようにしています。
9月は5件にエントリーし、そのための書類作成に奮闘していました。聞かれることは、どんな課題を解決したいのか?、どのように解決するのか?、誰の課題か?、なぜ解決したいのか?、競合は?、どれくらいもうかるのか?などです。それぞれに回答することはかなりビジネスモデルが洗練されてきたので、それほど苦労はないのですが、文字数などの制限により、思いをコンパクトに伝えることには毎回苦労しています。一言で簡潔に応えることができるようにしなければならないと実感しています。

今、足りていないこと
ビジネスプランのコンテストで「モノ」がないプランはかなり辛い状況になります。やはり「モノ」があってプレゼンし、「売れています」と、言えると、かなり評価が高いのですが、今研究中ですというと、研究が終わってからもう一度来てくださいという雰囲気になりがちです。投資する側からすれば、その気持ち理解できますが、お金のないベンチャーからすると「そこ、わかってよ」と思ったりするところです。それを承知で今年もチャレンジしますが、勝負は来年と思いながら、ビジネスプランをブラッシュアップし、少しでも多くの人に知ってもらうことを目的に参加します。

「モノ」を作るかの葛藤
母乳を検査するというプロセスは定義できるところまできたので、サービスの仕様は仮でも作れる状態にあります。ただ、それが売れる状態にあるのかというと、まだまだ売れる、つまり「それ、ほしい!」と言ってもらえる状態でないと思うので、プロトタイプでも「モノ」を作るのがよいのか、それとも「売れる」という仮説が立てられてから、行動したらよいのかと思案中です。
何をサービスの価値と定義するかだと思います。単に数値化できますでよいのか、それともその数値が基準と比較してどうなのか?さらにその結果からどう改善を提案できるのかなどまで決めなければならないのかって、ほんとスタートアップのPMFって難しい課題です。

まわりからの変化
去年はこちらが探してエントリーしていましたが、今年は先方から出てくださいとご案内を頂くことが増えています。これはこれで大きな変化だと実感しており、地道に活動することの大事さを痛感しています。
また、1年半ほど前にはじめた1000人にビジネスモデルをヒアリングする活動は750人となりました。この750人は会った人の数であり、繰り返し会った人の数は加算されていません。だから2回、3回とお会いする人が増えていくと、その人たちに進捗を報告させてもらうと、母乳の検査をしようとしているということは記憶して頂いており、進捗に興味をもって聞いてもらえている感触があります。すごく有名なライフサイエンス領域を専門とする投資家にも、認知してもらえたことが、直近ではすごく嬉しかったりします。
やはり共同研究でデータ解析が出てからが、本当の勝負だろうなぁと強く感じています。

出版に向けて
「The First Diet for Life」をテーマに文章を書いていますが、いろんなテーマと関係があるため、それぞれを掘り下げていると、いつ頃終わるのか、かなり不安になってきています。ただ、誰かが考えないと、この課題は解決できないという思いで書いていますので、しばしお待ちください。
年末ごろには原稿を書き上げる予定です。
また、モノを持たないスタートアップは知識をプロダクトとして発信することの可能性をたましたく、出版と何かを組み合わせた戦略が組めないものかと思案しています。例えば、クラウドファンディングとデータ解析との組み合わせとか。何か、このあたりノウハウある人、ご協力お願いします。

肝心な資金調達に向けて
母乳を検査するための基準を開発するためには資金が必要であり、その資金を確保するため、今年度後半の助成金も頑張って採りに行こうと思ってます。その申請もちょっとバタバタしている理由です。
良いサービスを提供できるように最善を尽くしていきたいと思います。

newsletter 2019/09 vol.25

執筆活動中!!

こそらぼの活動を通じて、日々の活動で時間を頂いて説明をさせて頂いている内容を、より多くの人たちに伝えたいと思い、本という形態で情報を発信する準備を進めています。今回の本では、下記のようなことが発信できればと思って書いています。およそ2か月かけて、大体7割くらい原稿が書けた状態にあり、これから出版社へ企画を持ち込み、商業出版しようと思っています。

1)赤ちゃんにとって最初の食事についてもっと真剣に考えよう!(The First Diet for Life)
「赤ちゃんの最初の食事は何ですか?」という質問に対して、どのように答えますか?
胎児のころから考えることもあり、必ずしも生まれてきてからというわけではありません。胎児、お母さんのお腹の中で受精してから1つの細胞から分化を繰り返して組織や器官などができ、ヒトの体になっていきます。このときの食事は胎盤を通じて胎児に提供されるものということになります。また胎児が外界にでてきてからは、赤ちゃんは母乳や人工調整乳を得て成長します。新生児、幼児の食事というと、授乳だけでなく、離乳食も含まれ、さらに家族と同じ食事なども含まれるのではないかと。

2)パパたちに授乳について学ぶ機会を提供したい
これまでの授乳をテーマにした本は女性を対象とするものがほとんどで、さらにハウツーについて書かれていることが多く、男性が気軽に学ぶことができる本がありませんでした。子育てに参画する男性が増えてきましたが、授乳について男性が意見を言うことはまだまだ壁があるように思います。それは授乳は女性が考えることという女性側の意識の問題もありますが、男性側の知識の不足、学ぶ機会がないことに寄与することもあるかと考えています。そんな状況を打開するために、男性が気軽に授乳について学ぶことができるコンテンツが必要と考えています。つまりはハウツーでおっぱいの絵や写真がたくさんある本ではなく、論理的な説明を生物学的な説明がメインとする内容が求められていると考えています。

3)母乳のすごさを知ってほしい
母乳は血液から作られます。意外とこのことを男性は知りません。そして母乳の中には白血球が血液よりも100~500倍多く含まれており、免疫細胞も多く含まれ、お腹からでてきた赤ちゃんを母乳を介してお母さんは一生懸命に守ろうとします。さらに赤ちゃんは母乳から栄養だけでなく、細菌ももらって、自分の腸内で細菌が活動できるようにし、外敵から自分の体を守る仕組みを作ります。
これだけでもすごいことですが、まだまだ未知なことがたくさんあり、これから研究が進み、解明されていくことになります。

4)授乳の多様性を考えることで、子育てが孤立せずに、社会で行えるようにしたい
実は、「母乳」という言葉は大正時代にできた言葉であり、それがいつしか母子に閉じた関係を意味する言葉のように捉えられ、第三者が口出しできない雰囲気を作り出しています。つまりは100年前に人工的に作られた考え方であり、それにいつしか縛られてしまっており、多くの女性を悩ましています。だから授乳の多様性を意識する人が増えることで、少しでもそれによって不安を感じている人の気持ちが楽になる環境を作ることができればと思っています。そして、母子に閉じた子育てをやめ、孤立を防ぎ、多くの協力者を巻き込み、社会で子育てできる環境を作るためにどうするかを考えていきたいと思っています。

5)授乳は自然科学だけでなく、社会科学の視点からも考えるテーマである
授乳の課題を過去からの習慣や経験で乗り越えようとするのではなく、サイエンスとして課題を解決する、つまりは再現性のある方法で解決できるようにする必要があります。授乳だけでなく、子育てに関してサイエンスがないことが課題であることがわかってきました。だからこれからはサイエンスとして課題を解決することが求められています。その際、サイエンスとは自然科学だけでなく、社会科学の手法を活用し、課題に対してアプローチしていく必要があります。そして、実際に子育てを楽しめる環境を実現することをゴールとしてどんどん掘り下げていきたいと考えています。

なかなか多岐にわたるアプローチと課題に対して、内容を掘り下げていくことにかなり苦労しています。

もし、ご協力を頂けるようであれば、書籍を完成するために、書いた原稿をお渡しするので、アドバイスや意見を頂戴したく思います。
ご一報ください。

Newsletter 2019/08 vol.24

新たな思いで!!

8月のNewsletterの配信が少し遅れたのは、8月1日に「おっぱいの日」というイベントを開催し、その内容を報告したかったからです。すいません。
また、いろいろご報告することがありますので、今月はばらばらとご報告させて頂きます。

経営体制の変更
これから本格的に大学病院と共同研究を開始するにあたって、資金が必要となるので、既存株主である個人から増資を行い、資本金が500万円にしました。また増資に合わせて、経営体制を刷新しました。
これまでFounderとして活動していました久保主税が代表取締役に就任し、サービス開発のスピードを加速させます。フルコミットできる状況ではまだないので、複業が続きますが、やるべきことは明確であり、そのやるべきことを確実に実行するための資金の確保が当面の課題と思っています。

助成金を獲得できました!
今回、東京都中小企業振興公社が募集していた「製品開発着手」という助成金にエントリーし、無事に通過しました。
この助成金は開発を開始するかどうかの前段階(研究)を対象としており、母乳の細菌叢をチェックすることで母乳の状態を評価するサービスを開発しようとしており、まさ最初のフェーズ。
大学病院との共同研究を開始するために必要な資金の一部として活用させてもらい、多くの母乳に悩むお母さんたちが、安心できる仕組みを早く提供できるように頑張ります。
「The First Diet for Life」をテーマに執筆中
「母乳」というと男性がなかなか議論できるテーマでありませんが、赤ちゃんにとって人生最初の食事と考えると、パパも真剣に考えるテーマだと最近強く思うようになりました。しかし、よほどの思いがないと、「母乳」が作られるメカニズムやその歴史、社会環境の変化などを調べようなんて人はいないと思いますが、いろいろ興味深いことがあるので、多くの人に知ってもらおうと思い、書籍にまとめようと思い、原稿を書き始めています。
また、子育てについて興味をもつ男性が学ぶための入門書も世の中にないので、そんな本になればいいなぁと思っています。そして、日帰り出張で新幹線の中で、読めるような量と内容にしたいと思っています。
誰か周りにこんな本を出版してくれそうな人ご存知ないですか?ご存知の方、教えてください。

「おっぱいの日」イベント
世界母乳育児週間に関連した「おっぱいの日」というイベントを開催しました。(詳しくは裏面にて)
当社のことが直接放送されたわけではありませんが、イベントについてNHKの「首都圏ネットワーク」という番組で放送されました。
Webメディアには社名が出たと思ったら、残念ながら社名が間違っており、ほろ苦いデビューです。
そして、日経MJ(8月9日版)という新聞にも、今回のイベントを紹介頂き、当社の取り組みを紹介頂きました。憧れの日経デビューです!(ちょっと起業家っぽくなったかなぁ)

Knowledge DBの構築
これから母乳に関するデータを蓄積するにあたって、蓄積されているデータに関する研究内容を把握することが必要となります。世界の母乳に関する研究を調べることができる仕組みを構築するための準備を進めます。母乳の細菌叢をメタゲノム解析で把握したあと、そのデータをもとに研究を進めるための支援ツールになればと考えており、送出されるデータとこのKnowledge DBを組み合わせることで、データの利用価値を高めていきたいと考えています。
今回、いろいろ変化があり、ばらばらにご紹介をさせて頂きましたが、いずれも内容は濃いものであり、地道に積み上げて行かない限り、どれも意味あり、価値のあるものにならないので、一歩ずつ進めていこうと思います。そして、ビジネスの骨格ができつつあるので、ようやくデジタルな世界へ接点ができつつあるので、いろんな会社やビジネスとのコラボレーションが可能になってきている感じがします。
いろんな課題にチャレンジしていきたいので、引き続きご協力を

「おっぱいの日」カンファレンスのご案内

2019年8月1日(木)19:00 から
株式会社フォトシンス  セミナールーム(東京・田町)にて
母乳育児および授乳の多様性についてオープンに議論するためのカンファレンスを開催させて頂きます。
現在、授乳中の女性だけでなく、授乳期の赤ちゃんがいる男性、これから出産をひかえているプレママ、プレパパ、産前産後ケアに関わる方々、サイエンスとして関心がある人などなどにご参加頂き、専門家を交えて議論できればと思っています。

詳細はこちらから
http://cosolab.com/0801meeting/

お申し込みはこちらのメールアドレスにメールでご連絡をお願いします。
info@oppainohi.com

(表題)おっぱいの日カンファレンス参加希望
(本文)
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所属
メールアドレス

Newsletter 2019/07 vol.23

共同研究を始めます!!

いよいよスタート!
6月は母乳中の細菌叢と健康度を評価するための基準を策定することを目標に、7月からアカデミアと共同研究を開始するために、助成金の申請を行い、資金計画を立て、研究計画を作っていました。今回の共同研究では、大学病院で出産したお母さんと赤ちゃんに協力を頂いて、母乳と赤ちゃんの糞便をサンプルとして提供頂きます。生後2日(初乳)、生後14日(移行乳)、生後1ヶ月(成乳)の3回を想定しています。赤ちゃんが生まれて、腸管が形成する過程を知ることができ、母乳が赤ちゃんの腸内細菌にどのような影響を与えているかを知る第一歩となると思うと、かなりワクワクします。

お母さんのライフログに悩む
今回の共同研究では母子の生体サンプルを採取し、データ解析するだけでなく、お母さんのライフログ、特に「気分」の変化をサンプリングしたいと考えています。特に、サンプルとして提供頂いた母乳を採取したときに、その母乳はお母さんにとって良好と思えたものか、そうでないと感じたものなのかを聞こうと思っています。授乳行為は動物の本能的行動であり、自分の状態を感じる感性がその質を決めているように思うからです。(データを取ると、そんな相関ないかもしれませんが、それがわかるのも大事なことだと思っています。)
また、出産後、病院から退院し、自宅で子育てが始まり、初めてのことだらけで必死な時期の「気分」の変化も簡単なアンケートで情報として、お母さんに提供して欲しいと考えています。データを収集したい人はあれもこれも欲しいと思いがちですが、子育てが始まってほんと必死なお母さんにそんなお願いは到底できそうにないので、必要最小限、知りたい情報のみを提供してもらうために、どうするか、すごく悩みます。

研究デザインの決定の難しさ
直接的に細菌という観点で、母乳の中の細菌と赤ちゃんの腸内に棲む細菌との相関を調べ、お母さんのライフログの情報を掛け合わせるということは一見、スマートな気がするのですが、それが正しいアプローチなのかと、他に考えておいた方が良いことはないかと、グルグル頭の中が回っています。だから、改めて栄養に関する書物や腸内細菌に関するレポートなどを読み、何か追加でデータを集めた方が良いものは何かと考えていました。まだ結論は出ていませんが、現時点では赤ちゃんの腸内細菌の食餌になる母乳中のヒトミルクオリゴ糖(HMO)に関するデータを取ろうかと考えています。

第2回日本母乳バンクカンファレンスに参加して
研究計画を固めていく過程で、前述の通り他に何のデータを収集すべきかと考えていたときに、今年の日本母乳バンクカンファレンスの時期とも重なり、ちょうど今年のテーマは赤ちゃんの腸内細菌で、ヒトミルクオリゴ糖に関する発表も多くあり、非常に勉強になりました。
昨年のカンファレンスは低体重児に人工乳を与えると、壊死性腸炎(NEC)に罹患するリスクが高く、人乳(ドナーミルク)を活用する方が良く、母乳バンクの役割が求められているという内容でした。
今年は少し発展し、低体重児がドナーミルクを使い、お母さんからの母乳をもらって体重が増え、生活に支障がないレベルまで成長し、早い時期に退院するかというテーマに取り組んでいる米国のテキサス小児病院の医師が発表されていました。その中で、赤ちゃんの腸内細菌の機能を活発にするために、HMOの作用がポイントであると考えていると報告がありました。まだ研究途上であるとのことでしたが。
米国では早産でも早期に母子が退院する理由は、お母さんのマタニティリーブの期間が12週という制限があり、長く病院に入院していられない事情があるとのことで、ちょっと厳しい現実を感じました。
また米国ではNECの発症率が高く、その治療費および万が一障害が残った場合のその後の費用の負担が大きいため、NECの発症率を下げる取り組みが行われており、研究が進んでいるようです。
米国のドナーミルクは母乳が提供されたあと、低温殺菌処理し、3−5名のドナーミルクをブレンドして、使うそうです。そしてドナーミルクは病院だけでなく、自宅でも利用できる仕組みがあり、保険が適用されると説明されました。
医療ではなく、保育という観点で会場からの質問に対して、保育園で母乳を持ち込もうとすると「冷凍」してくるようにと言われるが、医学的には常温の方が細菌は増えないので「冷蔵」でもいいのではと医師が説明した時は、会場はなるほどという空気になりました。

更なる疑問
今年は自分なりに疑問を持ち帰ることができたことが成果です。大きな謎は、低体重児が人工乳を飲んだときにNECの罹患リスクが上がり、人乳だとそのリスクが低いということですが、赤ちゃんの腸もしくは腸内細菌が乳の成分がヒト由来なのか、ヒト以外のものと区別しているのか?どんなメカニズムで反応しているのかが、不思議でたまりません。自分の知識と頭脳ではわからないので、わかる方に教えて下さい。
ひとまずはできることから頑張ります!

Newsletter 2019/06 vol.22

ビジネスピッチイベント

ビジネスピッチイベントに参加して
5月下旬に開催されたベンチャーキャピタル(VC)主催のピッチイベントに参加しました。ピッチの時間は5分。そのために自分たちが考えているビジネスプランを資料にまとめることにかなりの時間を費やして、準備しました。正直、5分で自分たちの実現したいことを、はじめての人たちに理解してもらうことは本当に難しいことを実感。
ただピッチのために資料を作成する過程は、非常に有益な時間でした。アカデミアとの共同研究を開始し、基準値を策定するためにデータを蓄積するということは決まっているので、その過程で何をするのか(タスク)はクリアです。必要な費用も試算できているので、何にお金が必要かも明確です。
それを説明する前、にそもそも「なんのためにするのか?」ということを掘り下げる必要があると思い、今回はそれに相当の時間を割いて考えました。自分なりに現在の課題を整理し、どのように解決したいかをまとめたつもりですが、プレゼンではなかなかそれを発揮できず、不発でした。

課題を共有する難しさ
私たちがビジネスの対象とする母乳や母乳育児は女性の課題であり、男性が多いVC業界の人たちにはなかなかピンと響きません。自分たちの課題感は母乳に関するメカニズムがわからないし、母乳に関する課題は自然科学だけでなく、社会科学とも関係があり、複雑で、何から手をつけなければならないかが難しいということです。そもそも母乳に関する課題を日常的に考えている男性はほとんどいないし、母乳でどんなことができるかを考えている人もほとんどいないので、短時間で問題を提起し、共有することは重要であるが、かなり難易度が高いと感じました。

自分たちのスタンス、立場を表明する重要性
私たちがビジネスの対象物は母乳であり、それは女性しか作れません。いろいろセンシティブな悩みがあるため、母乳を強調して説明すると、いろんな印象を与えてしまう難しさを経験。
私たちのスタンスは、状況に合わせて母乳と粉ミルクを臨機応変に使い分ければよい、どちらか一方だけがよいとか、何も影響を考慮せず、何かを選択するべきではないという思いで活動しています。「状況に合わせて」という状況に対する基準がないため、自分たちでアカデミアの協力を得て、策定しようとしています。それが母乳にばかりフォーカスして説明したことで、妄信的な母乳育児信者のような印象を与えてしまったようで、自分たちのスタンスを明確にして、自分たちの主張を発信する大事さを学びました

ヘルスケア、ライフサイエンス系のスタートアップにおける生みの苦しみ
私たちはスモールビジネスではなく、スタートアップでありたいと思って活動しています。だからビジネスの初期段階では収益が上がらなくても、0(ゼロ)から1(イチ)を生み出すため、1つずつ欠けているピースを見つけてはそれを埋め、ビジネスとしての可能性の解像度を高めることに全力で取り組んでいます。またヘルスケア、ライフサイエンス関連のスタートアップの場合、サイエンスとしての正しさとそのエビデンスの積み上げが要求されるため、時間軸がほかのテーマでのスタートアップとは異質です。したがって、ヘルスケアやライフサイエンスに特化し、さらに専門領域が合致した投資家でないと、私たちのビジネスモデルを評価するのが難しいと感じています。なぜならサイエンティスト(医師、助産師、製薬会社の研究者)の方々からはビジネス化しようとしている対象とアプローチについて非常に興味深く耳を傾けてもらえており、データが蓄積することでのインサイトには注目してもらっているからです。にわかヘルスケアビジネスとして、なんちゃってのエビデンスで、サービス提供はしたくないので、ビジネスとサイエンスのバランスが要求されています。これに対して私たちは、立ち上げ期から外部資本に頼るのではなく、可能な限り自分たちでサイエンスの正しさとエビデンスの積み上げを自分たちで行い、ビジネスとしての解像度を高めつつ、第三者にビジネスの潜在的価値を評価してもらえるように示していこうと考えています。

次なるタイミング
自分たちの企業価値を第三者に査定して頂くタイミングは、今年12月と考えています。アカデミアと共同研究により、母子10組、3つの時期に分けて母乳と赤ちゃんの糞便をサンプルとして採取し、メタゲノム解析を実施し、その結果が整理できるように進めているからです。ここである程度、母子の健康状態を細菌叢との相関関係があることをつきとめ、基準に関するドラフトを示します。
また実際に「母乳ドック」を提供するときに想定しているステークホルダーである医師や助産師、保健師を巻き込んだスマホアプリを使ったママと医療従事者とを結ぶ「産前産後ケアネットワーク」という仕組みも、年内に実証試験を行う予定です。
これらの検証を行うことで、市場のニーズを確認し、検証することでビジネスポテンシャルを評価するための指標を提示できるようになると考えているからです。

私たちの活動に興味をもって見守っていただいている皆様、あと半年お待ちください。

また引き続きご協力よろしくお願いします。

Newsletter 2019/05 vol.21

母乳元年、令和元年!

令和元年、
母乳を評価する仕組みを実現するため、大きな飛躍の年とし、「母乳元年」と言えるように頑張ります!

今年はじめ実際に母乳をサンプリングしてメタゲノム解析を行ったことで、大学病院と共同研究をはじめることとなり、少しモードが変わってきたことを実感しています。だから、平成の最後は母乳の健康度を調べるサービスを提供するためのビジネスプランを整理しました。その結果、事業化に向けた全体感をまとめることができ、何をしなければならないかがクリアになりました。
このビジネスプランをもとに、令和元年スタートします。

ビジネスモデル
当初のビジネスモデルは当社から直接ユーザへサービスを提供するモデルを想定していましたが、医療機関(専門家)を介してユーザにサービスを提供するモデルで検討することにしました。
共同研究を一緒に進める医師から母乳に関する基準ができれば、医師が検査について相談に来たママに勧め、医師が結果を基準と比較しながら、アドバイスもしくは治療のきっかけにできるから、多くの医師にとって役立つとコメントを頂いたからです。また助産師からも状態を可視化する仕組みがあれば、感覚ではなくデータで状況を伝えることができ、不安を抱えるママに納得いく説明ができるとも聞いています。ビジネスとしてもサービスのプロモーションに関するコストが低減できるので、収支計画を考える上でメリットが大きいと考えています。

ターゲット
実際に母乳の状態を検査する顧客の想定は、女性起業家や外資企業のマネージャクラスと考えてますが、前述のビジネスモデルの変更に伴い、医師や助産師などの医療の専門家も顧客となります。これまで授乳期に係る医療の専門家にフォーカスして意見を集めたことがないため、最優先に専門家の方々の意見を整理する必要があると考えています。そこで、医師や助産師、保健師などの専門家の方々を対象にアンケート調査を実施し始めました。
一方、これまでのママやパパを対象とするアンケートでは授乳期に専門家に相談したという人はほとんどいないことがわかっており、授乳期にママとパパが専門家と接点をどうやって持ってもらえるかという課題が顕在化しています。

プロダクト
これまで母乳の中にいる細菌をメタゲノム解析という技術を使ってデータ解析することで健康かを評価したいという思いが強かったので、悪いものを探すイメージの強い「検査」という言葉を使ってましたが、どうもその検査を利用するにはハードルが高いという感覚がどこかにありました。今回はある方から「母乳ドック」という名称にしてはどうかという提案を頂いたことをきっかけに、「母乳ドック」のほうがしっくりとくるなぁと直感で思いました。漠然とした不安を調べることで、健康であることを確認できるという「ドック」という言葉が心地よく感じ、このイメージでビジネスプランを描くことにしました。

ビジネスプラン
母乳の基準を策定するまでに必要なサンプル数がある程度想定できるレベルになったので、その基準を使ってサービスを提供するために必要な費用の試算を開始しました。また「母乳ドック」というイメージでビジネスモデルを組み立てていると、ターゲットを広く考えることができそうな気がしており、売上計画は期待値を込めて計算しました。ようやくこれでビジネスプランを説明できる状態になったという感じです。
ビジネスプランのイメージが固まったタイミングで投資家の方と話をすると、「投資を検討したい」と言って頂ける機会がでてきました。ただこちらがビジネスモデルとして医師や助産師など専門家を巻き込むモデルに不透明さがあると感じており、それをクリアにしないと、このビジネスプランの確からしさに自信が持てないという気持ちが強くなったため、もう少しビジネスプランをクリアにするために時間が欲しいと説明する始末です。なかなかタイミング難しいですね。

なんちゃってヘルスケアで一過性のブームはなく、今後の授乳期のママが誰でも利用するしっかりしたサービスにしたいので、1つずつパズルのピースを埋めながら、ビジネスプランを固めていきたいと思います。
一歩一歩確実に進めて行きますので、ご協力よろしくお願いします。
令和の時代、母乳に対する漠然とした不安は、「母乳ドック」で状態を確認することができ、母乳育児を通じて健康な赤ちゃんが増えして行きたいと思います。

医療従事者を対象とする母乳検査に関するアンケート調査ご協力のお願い

妊娠、出産、育児に関する医療に係る専門家の皆様へ

現在、母乳を評価する基準が存在しないため、当社では母乳の健康度を評価するための基準を、大学病院と共同研究を進めています。

当社は、母乳の細菌叢(フローラ)を対象に分析し、「母乳の健康度」を確認することができるサービスの開発を進めています。そこで、妊娠、出産、育児に係わっておられる専門家の皆様にご意見を頂きたく、アンケートを実施させて頂いております。ご協力のほどよろしくお願いします。

(アンケート)母乳検査に関するアンケート        ※こちらをクリックください。

大学病院との共同研究では、お母さんからは母乳、赤ちゃんからはうんちをサンプルとして提供頂き、母乳の中の細菌叢と赤ちゃんの腸内細菌叢をデータ化し、ライフログを組み合わせることで、母乳の状態を評価する基準を策定しようと考えています。

母乳に関する基準を蓄積したデータに基づいて策定することで、お母さんの母乳の状態を基準と比較して、状態を評価することができるようになります。

多くのお母さんたちは母乳に関する不安を持っています。
この仕組み(サービス)を医療機関を介して提供することで、母乳を検査して出てきた結果を、適切な人(医療の専門家)から説明されることで、お母さんたちは漠然とした不安から解放されます。

大変お手数ですが、この後のアンケートにご協力をよろしくお願いします。

株式会社こそらぼ
代表取締役社長 松本尚宏
http://cosolab.com

Newsletter 2019/04 vol.20

1000人ヒアリング(進捗)

1年前、知人からビジネスプランを1000人に聞いてもらってこいと言われたことがきっかけではじめたヒアリングは、現在540名くらいまで進捗しました。自分たちが考えている「母乳検査」を説明しながら、どんな気づきがあり、変化があったのかを報告します。

初めの100名まで
今からするとビジネスプランは粗削りで、自分たちの思い先行で「母乳」をメタゲノム解析すると何かが見えるはずという感じで、いろんな方に話を聞いてもらいました。相手からの質問に冷や冷やしながら、手探りで自分たちのプランを聞いてもらっていたというのが正直なところです。自分たちのやりたいことを説明してるだけで、相手に何をお願いしたいかが言えない状況が続きました。

100名ぐらいのとき
「母乳」を対象とした事業に新規性を感じ、興味を持って頂いた経営者が現れました。その方からアドバイスをもらいながら、ビジネスモデルを3か月くらいいかけて考える機会を得ましたが、母乳を単に検査するだけでは、どんな課題を解決するのかわからないし、その課題を解決することにコミットしないと、人はお金を出さないのではないかとコメントを頂きました。だから売れるかわからない時は試作を作って、市場にニーズを問うことが必要とアドバイスをもらいました。自分たちのアイデアをカタチにするところまでは他人の資本をあてにせず、自力で行わないとベンチャーの醍醐味が味わえないと言われたので、自分たちで検査サービスのトライアルを企画することを急ぐことにしました。

200名ぐらいのとき
ビジネスモデルを説明するとき、どうすればシンプルに説明できるのかと考えてたとき、「起業の科学」という本に出会い、そのフレームワークを使うと構造的にモデルが描けるようになり、ビジネスモデルの解像度を高めることを心がけました。ビジネスモデルを俯瞰的に見ながら、粗いところを探しながら、それを1つずつつぶしていく活動をしていました。
また、顧客の課題を知るために、ママ向け、パパ向けに育児に関するアンケート調査を実施しました。合計で100名を超えるママ、パパに回答してもらうことができ、多くのママは母乳の状態を気にしているが、検査した経験はないということと、育児はママとパパが相談しながら行っている人が多いということも数字で把握することができました。

300名くらいのとき
はじめてビジネスモデルコンテストに参加しました。自分たちのモデルはまだコンセプトの域を出てない状態のため、リアリティが乏しくピッチでのインパクトが弱く、聴衆の関心を惹きつけることができませんでした。他社は実際にお金が動くビジネスになっているものが多く、その差は歴然でした。だから、実際に母乳を検査してデータ分析して、すでにデータがあり、「〇〇が分かる」ということを示すことが必要だということをより強く感じ、トライアル解析を最優先にすべきことだと決めました。
また、自分のプレゼン資料には、「仕様書」の延長でしかなく、「ピッチ資料」になってないことも痛感。いかに短時間でビジネスモデルに共感してもらい、自分たちに興味を持ってもらい、お願いしたいことが伝えることができるかというものになっていないことに気づきました。
400名くらいのとき
実際に母乳をサンプルとして入手し、トライアル解析を行いました。初めて出てきたデータをみたとき、ほんと感動しました。ビジネスとしての第一歩を歩みだしたという感じで。またトライアル解析を行ったことで、自信をもって自分たちのビジネスプランを話せるようになりました。経産省主催のイベントで急遽ピッチをすることになった時も、3分で伝えたいことを伝えることができるように頭の中が整理されました。
次の新たな課題は、技術的に検査できてもその結果を被験者が理解できるかということが顕在化しました。ママとパパは相談しながら育児をする前提にしたとき、母乳育児も相談するのかという疑問が出て来たので、再びパパを対象にアンケート調査を行いました。結果は想定通りパパの母乳育児に関する知識不足しており、母乳育児はパパから言い出せないテーマだということがわかりました。市場の認知、啓蒙からベンチャーで仕掛けるのはちょっと辛いなぁという印象でした。

500名くらいのとき(現在)
母乳の基準を作ることをゴールに、アカデミアとの共同研究を開始することが決まりました。これからは研究開発計画に従って、大学病院と連携してデータを収集して、相関関係を見つけることが最重要課題であり、やるべきことが明確になりました。これを半年でするのか数年かけてするのかはビジネスとしての解像度をどれくらい鮮明に描けるかであり、その資金をどのように確保するかだと考えています。これからがスタートアップ企業になれるかどうか試されるときであり、かなりワクワクしています。

より熱くビジネスプランを説明する機会が増えますが、引き続きご協力よろしくお願いします。

ヘルスケアイベントでピッチ!

経済産業省主催ヘルスケアミートアップイベント
~支援側の企業によるリバースピッチ~
日時:2019年3月4日(月)18:00-
場所:日本橋ライフサイエンスビルディング

今回のイベントはVCがスタートアップ企業向けにピッチをするのがメインの企画ですが、急遽スタートアップもピッチすることになり、経済産業省の方からピッチに参加してほしいと依頼を頂戴し、ピッチさせて頂くことになりました。